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米沢らーめん「適塩」で一丁・市民グループが取り組み
(2017年8月8日朝日新聞・山形版より)


「適塩運動」を呼びかけるのぼりを持つ笹木洋一さん(左・S45卒)と牧野元さん(S47卒)
=米沢市

うめぇげんどもスープのごすじゃぁ 「スープ残す」カード■減塩スープ開発

 米沢市の郷土食とも言える「米沢らーめん」。市内には100件以上の店舗があるが、気になるのは塩分。適切な摂取量で食事を楽しむ「適塩行動」に市民有志が取り組んでいる。


適塩行動のためのカード「うめぇげんどもスープのこすじゃぁ」と記されている
=米沢市のあたご食堂

 米沢市御廟一丁目のあたご食堂には、テーブルの上に名刺大のカードが置かれている。「うめぇげんどもスープのこすじゃぁ」の文字。「おいしいけれどもスープを残します」の意味だ。

 店主の川村豪さん(44)は「スープを残せば減塩できるので遠慮なく残してくださいと発信することで、食べる回数を増やしてもらえるのではないか」と話す。

 考案したのは、市民のグループ「米沢らーめんから始める元気なまちづくりの会」の牧野元さん(63・S47卒)ら。牧野さんは市内にある製麺会社の社長で、ラーメンを多く食べてもらうとうれしい立場だが、2010年に脳出血で倒れ、減塩を心掛けるように。「店主が精魂込めてつくったスープを飲み干せなくなった。それがストレスになった」

 ラーメン店からも「スープを残す人が増えた。おいしくなかったのか健康を気にしているためかわからず、気になっている」と聞いた。そこで「大好きなラーメンを元気に、健康に食べてもらうにはどうしたらよいか」を考え、スープを残す意思表示カードを思いついたという。

 米沢栄養大の金光秀子教授は「米沢らーめんは脂質が少なく、低エネルギーで高たんぱく質。減塩のためにスープを残し、野菜のトッピングで、栄養的な効果が期待できる」と話す。

 牧野さんら市内の製麺会社でつくる協同組合・米沢伍麺会は「飲み干せるスープ」も開発した。米沢らーめんは鶏ガラと煮干しのしょうゆスープが基本だが、「だしをいかして調味料を少なくする」ことで通常より4割ほど塩分を減らしたという。

  市民グループは昨年、減塩を進めるセミナーを市と共催。減塩スープの試食や、ラーメン以外の料理の減塩の調理法を紹介した。代表の笹木洋一さん(66・S45卒)は「これからも世代を超えて多くの人に米沢らーめんを愛してほしい。適塩行動のまちづくりを進め、それが評判になり、米沢を訪れる人が増えるようにしていきたい」と話している。

市民の塩分摂取全国値を上回る・山大と市が調査

 山形大医学部と米沢市は、市内の2137人分の尿や血液を調べた結果、1日当たりの推定塩分摂取量が全国値よりも約2グラム多かったと発表した。

 県内約3万人を調べている「コホート研究」の一環。山大メディカルサイエンス推進研究所の冨樫整氏らが2015年の健康診断を分析した。米沢市民の1日の塩分摂取量は12.1グラムで、全国の同10グラムを上回っていた。糖尿病の人も多いといい、「塩辛いものを食べると、ご飯もたくさん食べてしまうため」と説明している。

 また、米沢伍麺会と米沢栄養大が15年に市内30店のラーメンを調べると、1杯に含まれる塩分は平均約9.6グラム。スープが約8.1グラムで、麺とトッピングが約1.5グラムだった。1日当たりの国の目標値(男性8グラム未満、女性7グラム未満)、世界保健機関(WHO)の目標値5グラム未満を一杯で超える計算になる。

ラーメン愛と減塩両立・米沢・店主ら20人、団体設立(2016年4月15日山形新聞)