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母子の健康と命守る・遠藤明日美さん(31・H12卒) 米沢市出身 ホンジュラス、助産婦
(2012年12月8日山形新聞)

遠藤明日美さん
サンタマリア地区の小学校で行った手洗い教室。子どもたちが手洗いの実験をした。
右奥が遠藤明日美さん(31・H12卒)

 ホンジュラスのサンタマリア地区は、道を行くのは人よりも動物の方が上回るほどのどかな農村部に位置しており、人々は穏やかで優しく、ゆったりとした時間が流れています。まだインフラも整っておらず、水道設備も不十分なため、雨が降り始めると、バケツを持って走る生活を送っています。
 私は、第1次医療施設であるサンタマリア自治区保健所に助産婦として配属されています。ここでは一般診療、予防接種、乳幼児・妊婦診察を行っています。併設された母子クリニックでは24時間体制で普通分娩の介助も行っています。
 この地区では緊急時は車で2時間近くかかる病院に搬送されますが、救急車はもちろんなく、移動手段やそれにかかる費用はそれぞれが準備しなければなりません。知識不足に医療アクセスの悪さなどが絡み、重篤となったり、無残に亡くなってしまった命もありました。
 日本との大きな違いは、居住環境や経済状況ばかりではなく、それも絡んだ教育だと考えます。基礎教育が十分に受けられず、読み書きのできない住民も多いため、目先の状況による判断に走りがちで、先を予測することがなかなかできません。
 そのため妊娠中のリスクや健康受診の必要性も理解できておらず、緊急時を考慮した準備もできていません。それが妊産婦・乳幼児死亡率につながっていると考えられます。これらのことから現在、母子保健からのアプローチを中心に、住民全体への教育的関わりを通した地域保健機能強化を目指し活動しています。
 ホンジュラスではサッカーがとても人気です。ロンドン五輪では、ホンジュラスと日本の対戦がありました。日本人先週の反則がほとんどなかったことや、ホンジュラス選手の素晴らしいプレーに拍手する日本人の姿がテレビに映ったこともあり、マナーやモラルをずいぶん称賛されました。
 東日本大震災については多くの人が心を痛め、激励の言葉をくれます。震災下の混乱でも秩序と礼節を失わず、静かな勇敢さで助け合ってきた日本を、世界各国が評価してくれており、この国も同様です。
 ホンジュラスを含む途上国と呼ばれる国々からも、たくさんの義援金が送られています。日本の評価に恥じることのないよう、日本からの感謝を伝える意味でも、しっかり活動していきたいと思います。


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※遠藤明日美(えんどう・あすみ)米沢興譲館高、岩手県立大卒業後、東京の葛飾赤十字病院(新生児集中治療室=NICU、産婦人科)に勤務。2012年3月から、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊として、ホンジュラスに派遣。職種は助産婦。米沢市出身。31歳。

12月8日山形新聞