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震災影響 今、何をすべきか8 県内業界・団体代表に聞く
燃料調達先を分散 求めたい資金繰り支援 県トラック協会長・武田忠一氏(S29卒)
(2011年5月12日山形新聞)

松倉とし子さん
県トラック協会長 武田忠一氏(米沢合同運送会長・S29卒)

 −救援物資の輸送など、被災地復興に向けてトラック協会が果たした役割は大きかった。
 「鉄道や船舶と違い、どこからでも入れるのがトラックの強み被災地では大型車が入れないところも多かったので、途中から小型車に切り替えて対応した。ただ、震災後1週間ほどは電話が不通で連絡が取れなかったり、燃料不足が深刻化したことから部分的な応援にならざるを得なかった。4月に入ってからは、集積拠点に大量に運び込まれた救援物資の仕分けが進まず、受け入れできない状態となったことから、協会員の中から仕分け要員を出した。協会内の霊柩(れいきゅう)部会は被災地へ車両11台、19人を出し火葬のための遺体搬送にも協力した。県とトラック協会は災害時の緊急物資輸送などについて協定を結んでおり、新潟県中越地震などこれまでの経験から違和感なく対応できた」
 -軽油などの燃料不足が物流に大きなダメージを与えた。
 「被災地でない本県で燃料が不足したのは全くの想定外だった。地震だけならこれほど深刻な事態にはならなかっただろうが、津波で宮城の貯蔵庫やタンクローリーが根こそぎやられてしまったのが原因だ。在庫を持っていたところはほとんどなく、車を動かせない会社も数多く発生。救援物資だけでなく、工業製品や食品など一般の経済活動への対応もできなくなった。各社が独自ルートで調達したり県外で給油して対応したが全然追いつかない状況だった。酒田港に入った燃料は宮城、新潟港分は福島、秋田港は岩手・青森と、全て行き先が決まっていたため、結局、山形だけが取り残されてしまった」
 -教訓になったことも多いはず。業界として今後どう対応していくのか。
 「今回の震災では、取引のない新潟などの石油業者に供給をお願いしても相手にしてもらえないという状況もあった。まずは、宮城に集中していた燃料調達先を分散していく必要がある。また、物流が減るなど経営環境が厳しくなる中で、資金繰りへの支援も大事。倒産する会社が出ないよう関係機関に働き掛けながら急場をしのいでいきたい。心配なのは、燃料の高騰が続くこと。高騰分を荷主に転嫁できる燃料サーチャージの認可を国から受けている事務所も多いが、震災後の今の状況では踏みきれない。震災による売り上げ減と燃料コスト増というダブルパンチの中でどう対応していくのかが問われる。単に元に戻ればいいのではなく、今後どういう形で仕事をしていくべきなのかを、この機会に業界全体で考えていくべきだ」
 -これから必要なことは。
 「経済復興が最優先。山形が元気にならなければ被災地を支援することはできない。企業が活動を始め、避難者の定住化が進めば、そこに消費が生まれ物流も生じる。政府はそのための支援に全力を尽くしてほしい。物流面では、酒田港や高速道路のインフラ整備が急務だろう」

5月12日山形新聞