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強い気持ち 言語越える 芳賀由佳さん(H13卒) エジプト・理学療法士
(2011年4月13日山形新聞)

芳賀由佳さん
ダミエッタにある児童養護施設を訪れた際、子どもたちと写真に納まる芳賀由佳さん(後方中央・H13卒)

 エジプトに赴任してから約1年がたちました。現在は政情不安のために一時帰国中ですが、現地では社会連帯省ダミエッタ支局のリハビリテーション部の部長が、わたしの受け入れ担当の「カウンターパート」となり、部長が管轄する障害者施設、リハビリテーションセンターを巡回指導していました。
 一般的な病院では理学療法士がリハビリを担当しますが、リハビリセンターでは理学療法士は診断するのみであるほか、障害者施設では理学療法士がいないところが多く、リハビリを担当するのは知識のない助手がほとんどです。
 赴任当初、言葉はままならず、患者さんやスタッフの言っていることが、ほとんどわからない状態でした。そんな中でも、リハビリで危険な場面が見られるなど施設の問題点は顕著であり、自分がやるべきことが多くあることは分かりました。言葉の面での壁は大きく、なかなか思うように事は進みませんでした。身ぶり手ぶり、使えるものは最大限に生かしながら活動し、それでも相手に言いたいことが伝わらない悔しさなどを多く感じました。

ダミエッタの子どもたち
ダミエッタにある障害児のための施設で、スポーツを楽しんだ後の子どもたち

 人によって、伝わったり、伝わらなかったりと違いがありました。これは、相手の理解しようとする気持ち、こちらの伝えたいという気持ち、それぞれの強さの違いからだと感じました。このことは、日本の中でもみられるのではないでしょうか。人を理解することは労力や努力が必要だと思います。
 言葉が分からなくても苦しく感じにくくなり、相手の言いたいことが分かるようになったのは、現地の文化を赴任当初に比べ、よく知るようになったことも要因の一つだと思います。わたしは、コミュニケーションを大切にするエジプトの文化を尊敬しています。
 リハビリの現状をより良いものにするため、やるべきことはまだまだ数多くあります。現地に再び戻った際はエジプト人からいろんな話を聞き、小さなことにも誠実に対処し、自分にできること、、自分でなければできないことを考えながら、活動を続けていきたいと思います。


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※芳賀由佳さん:米沢興譲館高から埼玉県立大に進み、卒業後はさいたま市の東大宮総合病院に理学療法士として3年間勤務。成人の外来、入院の患者を中心にリハビリを担当した。国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員に応募し、昨年1月にエジプトに赴任。理学療法士として、首都カイロの北約270キロの街ダミエッタ(地図表記:ドゥミヤート)にある障害者施設などでリハビリの指導などに当たったが、政情不安のためにことし2月から一時帰国。寄稿は2回目。
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4月15日山形新聞